本の話、映画の話 - 湊かなえ「告白」


2008 双葉社
湊 かなえ 先生


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図書館で予約し
半年間待ち望んだ

映画化など
かなり話題にもなっていたし
ちょっとした色眼鏡
(ナンボのもんじゃい的な)を掛けて
読み始めたのが正直なところ

冒頭から
コレまでにない書き出し
出鼻を挫かれた

想定外の文章が展開されている
改行ゼロ
状況表現ゼロ
一方的な会話(と言うか告白)が繰り出されている

完全に「湊かなえワールド」
いきなり圧倒された

その後も
初めて体験するザラツキを感じながら
ほぼ2時間で一気に読み終えた


凄まじい作品だ!


想定していたオチを遙かに超えていた
しかも更にその上を超えていかれた感じ


完全にヤラレた


連載されていた
前半3章で終わらしたとしても
かなりの作品だが
単行本化のために今回書き下ろした
残り後半3章の凄まじさたるや!!
上手く文章に起こせそうにない


何と言う復讐劇だ!


しかも本作がデビュー作!とキテル
末恐ろしい先生だ

インタビューで先生は
「告白」が最高傑作でそれを超えられない作家…
にはなりたくないと語っていたが
その後の作品を読む限り
残念ながらまだそれを実現していないと思われる

ここまでの話を創り出せるのだから
近い将来必ずや超えてくるはずだ
ってか
そう願いたい


こう言った作品が
大ヒットする現在の日本

時代・世論は正直に
心の闇を写し出しているのやも知れない



2008年度週刊文春ミステリー第1位
2009年度このミステリーがすごい!で第4位
2009年本屋大賞受賞
↑まったくもって文句なしの結果だ




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2010 東宝
中島 哲也 監督

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原作を読んでいるので
映像化に対しては
ややナナメ(やはり、ナンボのもんじゃい的なそれ)に観ていたが
なかなか素晴らしい出来だ

中でも
女性陣の演技が際立っている
もちろん主役の松たか子の冷酷っぷりも良いが
木村佳乃の壊れっぷりがタマラナイ

木村佳乃の子役が
ちょっと幼すぎたが
演技に免じて目をつぶろう


PVを観てるかのような
スローや逆回し、多めのコマ回しを
効果的に使った映像の数々

さらに終始「黒」が際立った映像で
緊張感・臨場感を上手く表現しており
中だるみすることなく最後まで楽しめた


最後のシーンは
想像と違ったので正直ガッカリだったが
まぁよくぞここまで仕上げた!
と言うのが正直なところ

もうちょっと長い時間で
丁寧に回しても良かったかも知れない

日本映画もなかなかのモノだ
久しぶりに日本映画で満足した


2010年度キネマ旬報誌 日本映画2位
第34回日本アカデミー賞 最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞受賞作品


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