本の話 - 橘玲「大震災の後で人生について語るということ」


2011 講談社
橘 玲 先生

---------

先生の作品でこれほどまで
「願い」が込められた作品は
初めてではないだろうか

それほど今作には
先生の強い願い
そう
これまで以上に悪化していく絶望の世界で
一縷の望みを託した先生の思いが綴られている


読み始めると
今までにない説得力のある文章と構成に驚くコトだろう
これまでで一番のまとまりを見せている

これはきっと
・先生の思い描く人生設計論が完成したコト
・その人生設計論がこれからの日本で生き抜いていくために
唯一と言っても過言ではない生き方であるコト
・大震災の発生を目の当たりにし
その生き方をみんなに一刻も早く気付いてもらいたいコト
以上が思いとなって
この完成度に繋がったと思われる

それほど素晴らしい作品だ

今作品は
震災後2週間で描き上げたそうだが
それは文章からも伝わってくる

今まで先生が敢えて避けてきた
「使命感」の芽生えと言えるかも知れない


内容は
「4つの神話の崩壊」について語られている

・不動産神話 - マイホームを持つリスク
・会社神話 - 一つの企業に定年まで勤め上げるリスク
・円神話 - 日本円のみでの資産形リスク
・国家神話 - 定年後に社会保険制度に全て頼るリスク

これらは
これまでの著作で先生が
再三再四繰り返し訴えてきたコトばかりだ

次に
その4つのリスクから逃れる方法
提示してくれている

それは
今現在はぬるま湯である「伽藍の世界」から
地獄のように苦しい「バザールの世界」への旅
しかしながら
ぬるま湯の「伽藍の世界」はいずれ崩壊してしまうのだ

当たり前のようでもあり
とてもシンプルな方法であるが
ほとんどの日本人は気付いていないし出来っこない

それは
先人たちが残してくれた注意書きを無視し
いつ津波が来てもおかしくない低地に
フルレバ(頭金ゼロ)の住宅ローンで家を建て続けるが如くだ

ちょっと過激だったが
もう余計な寄り道は出来ないほどに
日本国と日本人は追い詰められてるコトを認識すべきなのだ


まったく無意味だとは思うが…
是非ともこの本は
このデフレの日本で恩恵を一手に享受している公務員
そしてこれからの日本を方向付ける政治家に読んでもらいたい

ホンモノの憂国の志士の叫びを受け止めて欲しい


もちろん
リスクを回避・緩和したい方
そして3.11以降
最新型の人生設計モデル
を身に付けたい方に
ぴったりの一冊だ

将来的に日本が立ち直り
過去を振り返るコトがあれば
この作品が評価されるに違いない

さすれば先生の代表作と
なり得る作品と言えるだろう

----------

↓以下は恥ずかしながら個人的な決意表明です

オイラは今現在
その「バザールへの旅」を実践し
試行錯誤・悪戦苦闘しているが
この本により 幾分不安が減り
これまで以上に自信を付けるコトが出来た

オイラはもう「伽藍の世界」はコリゴリだ…
もちろん「バザールの世界」は
一筋縄ではいかないコトは分かっている

しかしながら
「バザールの世界」に身を投じ
そのなかで自分なりの成功を探求していきたいと思う

個人的に
これからの向かうべき方向性を再認識させ
改めて気合いを入れ直させてくれた一冊だった

先生ありがとう


コメント