本の話 - 江戸川乱歩「孤島の鬼」

1929 博文館
江戸川 乱歩 先生

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25年ぶりの江戸川乱歩先生

少年時代に
「怪人二十面相シリーズ」を
愛読
していたコトもあり
懐かしい文章に思わず
「ただいま~」的な気分だった

よりによって何故
この作品を選んでしまったんだろう


天野喜孝先生担当の
表紙がとても美しい一冊
だが
内容はめちゃくちゃグロい
素人探偵冒険奇譚
だったw


物語は
30歳にもならないのに一本残らず白髪の主人公・蓑浦と
右腿上部に恐ろしく大きな傷跡を持ったその妻の
その原因ともなった想像を絶する事件の経験談だ

貿易会社に勤める蓑浦は同僚・初代(はつよ)に一目惚れ
程なくして二人は付き合うようになるが
初代は何者かに殺されてしまう

警察の捜査もむなしく犯人の手がかりさえ掴めない状況

蓑浦は初代を殺した犯人を探し出すため
友達の素人探偵・深山木に依頼するが…

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先生らしいと言えば先生らしいし
時代が時代と言えばそうなのだが
現代の探偵モノ小説と比べ
状況説明が非常に親切丁寧

これが逆に新鮮

 ・状況説明がまわりくどいってかバカ丁寧w
・「この伏線があとあと効いてきますよ」的な説明が必ず付いているw


と言う訳で
探偵モノの一番の目玉である
ワクワクドキドキは薄い


しかも
グロイのがこれから来ますよ~
もうすぐ来ますよ~と予告してくれるので
グロさも半減

しかしながらこれが
当時の読者(けっして少年向きではない)のワクワクドキドキするような
最先端の小説
だったのだろう

現代ではなかなか有り得ないような
キツイ設定(せむし男・不具者・シャム双生児・同姓愛…)の連続で
先生の作品の中でも特に人気のある作品ではあるらしい

残念ながら
少年時代に読んだワクワクドキドキは得られなかったが
現代のBLの原点?・グロ小説の原点?を体験できたのは収穫と言える

なかなか興味深い一冊だった


小林少年ばんざ~い
江戸川先生ばんざ~い

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