和田 竜 先生
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タイトルは「小太郎の左腕」とあるが
物語の中心・主役は断然「林半右衛門」だ
この半右衛門が男臭いこと男臭いこと！
真の武者！ 真の日本男子そのものなのだ
半右衛門を取り巻く武士たちも
一癖も二癖もある男臭い者ばかり
新・戦国エンタテインメントを謳っているが
そんな薄っぺらなコピーでは表せない
深い余韻を残してくれる作品だ
デビュー作「のぼうの城」以来となる
オノ・ナツメ先生が挿画を担当
これがかなり良い
オノ・ナツメ先生もチェックしたくなるほどだ
物語は
太田川を挟んで敵対する
戸沢家と児玉家の攻防を描いている
その戸沢家の猛将「林半右衛門」と
敵対する児玉家の勇士「花房喜兵衛」の
絡みが男臭く素晴らしくかっちょええのだ
戦の最中にもかかわらず
二人だけの世界を創りだし
お互いを称え合い
殺しあいながらも友情さえ感じさせてくれる
臨場感のある合戦
こっちまで苦しくなりそうな籠城戦
「忍びの国」よろしく忍者の暗躍
無能な領主とその跡取り息子
物語は猛将二人を中心に良く描かれているが
タイトルでもある「小太郎」がまったくもって弱い
中盤から
小太郎の流れになるが
いまいち深く描ききれていないため
後半～オチがやや強引に感じる
もう少し小太郎周辺を掘り下げたほうが
物語に更なる深みが出たように思える
いまいち小太郎の左腕の恐ろしさが
伝わってこなかったのが惜しい
もちろん
デビュー作「のぼうの城」や
前作「忍びの国」にはない
かなり深みのある物語であり
先生の幅広い手腕が垣間見え
充分満足出来る作品ではある
「のぼうの城」「忍びの国」同様
これも映画化されるコトだろう
シーンが容易に浮かんでくる
素晴らしい文章も健在だ
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