映画の話 - 男はつらいよ 寅次郎子守唄 シリーズ14作目

1974 松竹
山田 洋次 監督

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寅さんシリーズの中でも
個人的に好きな作品

鉄壁のワンパターンな展開だが
しっかり笑わせてくれ
ちゃんと泣かせてくれる
素晴らしい作品

この作品からおいちゃんが
松村達雄から下條正巳に変わっている


この作品の目玉は
ストリップ劇場の踊り子役
春川ますみ
だろう

訛りといい
肉感的な佇まいといい
完璧で素晴らしい助演!

中でも唐津・呼子港での
寅さんとの掛け合いが最高


 アンパンを頬張りながら
 船着場に佇む寅さん

 春川ますみ演じる踊り子が
 船を見送りにそこへ来る

 いつの間にか
 ストリップ稼業の愚痴をポロッとこぼしてしまう女
 それに対し粋な言葉を投げかけアンパンを勧める寅さん

くううううううううううううううう
かっちょええええええええええええ

ハードボイルドそのもの
素晴らしい導入


そこから一気に
いつもの寅さんへ

当時のキャッチコピーがこれまた上手い

「ひでえ目に逢いました
 まあ、私の話を聞いて下さいまし
 大変な拾物をしてしまったんでさ…」


って訳で
ヒョンなことから赤ちゃんを預かることになる寅さん
ハードボイルドな体(てい)から一気にドタバタな展開へ
さすが山田監督

良く分かってらっしゃる

今回のマドンナは
ニッポン放送「いってらっしゃい」(古いかw)の
十朱幸代


むっちりしていており
素晴らしい日本美人


元気で活動的な看護婦さんを演じており
求められているイメージ通りの演技で上手い

江戸川土手を
さくらこと倍賞千恵子と並んで歩くシーン
日本二大美女を同じ画面で観るコトができ
かなり目の保養
となってこれまた嬉しい

ドタバタも良いが
今作は泣かせてくれる展開が比較的多くお得?

おいちゃんとおばちゃんには子供がない
おばちゃんは子供ができない身体だったのだ

いきなりの赤ちゃんに戸惑うおばちゃんも
世話をしていくにつれ徐々に情が湧き
成り得なかった母親の顔になっていく

そのおばちゃんの移り変わっていく様が非常に上手
赤ちゃんとの別れのシーンでは涙を流さざるを得ない


また
寅さんがさくら名義で
コツコツとお金を貯めているコトが分かる
これもジーンと来る


そして
マドンナに惚れている貧乏な青年
髭面の上條恒彦の名演も忘れることができない

寅さんのめちゃくちゃ恋愛指南に
まんまと感化され十朱幸代に思いを告げるシーン
これもかなりヤラれる

実直で朴訥ながらも
力強い一途なその思い
「美しい」とはまさにこのこと

これだけ盛りだくさんな展開ながら
非常に自然な流れで最後まで一気


いつもの統一劇場の面々もがんばっている
朗らかで若い歌声も聞くことができ嬉しい

最後はまた
あの美しい唐津だ
みんな収まるトコに収まり大団円

とても素晴らしい作品
シリーズの中でも特にオススメ


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