本の話 - 角田光代他6人「Teen Age」

2004 双葉社
角田 光代 先生
瀬尾 まいこ 先生
藤野 千夜 先生
椰月 美智子 先生
野中 ともそ 先生
島本 理生 先生
川上 弘美 先生

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瀬尾まいこ先生目当てで手に取ったが
角田光代先生の突き抜けるような勢い
そして
川上弘美先生のアナーキーっぷりに
たいそう驚かされた一冊
であった

もちろん
お目当ての瀬尾先生も
期待通りの空気感を醸し出してくれ安心
した

この短篇集の煽り文句は
「友情や恋に悩み、将来への漠然とした不安に揺れ動く少年少女の姿を
読者の熱い支持を得ている七人の女性作家が描く
いま十代、そして十代を通り過ぎた
すべてのひとに贈る珠玉のアンソロジー
オール・オリジナル作!」

「十代は、可笑しいことがいっぱいあった
そして、ときどき焦って、ふと痛みも知った
誰もが胸の奥にしまってある、たいせつな通過点
今、わたしたちの作家が描く
ティーンエイジ小説の最高傑作アンソロジー」
とのこと

巻頭を飾る
角田光代先生の突進力はスゴイ
先生の描く「これが十代の勢いじゃああああああああ!」は
あの傑作「対岸の彼女」を彷彿されてくれる

いかにも先生らしいTeen Ageだ

そして
贔屓にしている瀬尾まいこ先生

お仕事柄(教員をしている)なのか
この年代(小中学生)を描くのが上手い

やはり傑作である「図書館の神様」でも感じたが
小中学生を青臭い児童小説感ではなく
等身大の人間然として描けるのは先生において他はいない


是非とも
このピースフルな空気を堪能して欲しい

残念ながら
Teen Age と言うお題から
飛躍し過ぎていた野中ともそ先生は
ちょっといただけない


逆にお題そのもので
不安定ながら驚くほど大人びた
ティーンエージャー(特に女の子)を描いている
藤野千夜先生、椰月美智子先生、島本理生先生の3作は
もろ女性向きな作品
と言えよう

忘れてはならない
大トリの川上弘美先生にはブッ飛ばされた

あの溜息の出そうな素晴らしい日本語ながら
内容はまったくのパンク


なんじゃこりゃ?と思いながら
表紙を見返し題名を反芻
そして納得した

これが Teen Age なのだ

ティーンエイジ小説の最高傑作アンソロジーとは
たいそう風呂敷広げすぎと思うが
なかなか充実した短篇集ではある

女性にオススメ


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